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やまぐちみづほ『明日食べる米がない! ~親が離婚したら、お金どころか、なーんにもなくなりました!!』-超ヘビーな絶対貧困物語

明日食べる米がない!

『明日食べる米がない! ~親が離婚したら、お金どころか、なーんにもなくなりました!!』読了。
作者は、やまぐちみづほ先生。

可愛らしい画風から、明るくライトなビンボー暮らしのコミックエッセイなのかと思ったら、超ヘビーな絶対貧困のお話。

みずほ先生が5歳の頃、両親が離婚。パート勤めの母親と暮らすようになるが、養育費も滞り、生活は困窮を極める。

「明日食べる米がない」は比喩でもなんでもない、本当の話。
食費がなくなると、おかゆや、小麦粉を水でといて薄く焼いたもの。常に空腹状態。
それでも小学生のうちは、給食のおかわりでなんとかしのぐが、中学生になるとお弁当が始まり、お米がなくなると、当然弁当は持っていけない。
教室で食べるものがないから、図書館で時間をつぶすシーンは、涙が出る。

小学1年生のときに買った制服を卒業まで着続け超ミニスカになってしまったり、家賃に支払う予定の2万円で、母親が開運ブレスレットを買ってしまい、立ち退きを迫られたり、驚きの過去が綴られる。

何より怖ろしいのは、これだけ困窮してるのに、児童手当、母子手当など福祉関係の申請をしている様子が一切ないこと。

例えばダンナさんとか、両親とか、家族に誰か頼れる人がいるなら、「お母さんは一人じゃ何もできないんだから(笑)」くらいで済む話なのかもしれない。
だけどひとり親で他に頼れる人がいない状況では、母親が何とかするしかない。

それは、何も身を粉にして働きつめろとか言っているんじゃなくて、福祉の窓口に相談するとか、せめて、身近な誰かに話せたら、もう少しなんとかなったんじゃなかろうか。
生活保護を貰えたら、普通にご飯が食べられたはず。

自分も心の弱い人間だから、現実と向き合いたくない気持ちはよくわかる。
現実を見たら気持ちが萎えるから楽な方に流れるのは、心の防衛機制かもしれない。
だけど、それで割を食うのは他ならない子どもだ。
お母さん、もっと現実を見て~~と叫びたくなる!!

子どもに対して愛情がないわけじゃない。でも愛情が子どもの幸せに繋がらず空回りしている。
それが、なんともやるせない。

極貧生活の中、何も残せないまま高校生活を終わらせたくないと一発奮起して、描いたマンガが、この『明日食べる米がない!』だ。わかりやすく読みやすい。当時の状況も手に取るように、伝わってくる。

とても才能のある作家さんだと思う。

お母さんには、子ども為に自立してあげてと言いたい。
そして、みづほ先生には、お母さんのことは大切でも、これからはご自分の人生を生きてほしいと思う。

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