小林薫『強制除霊師・斎』-聞き分けのない霊は問答無用で、強制除霊。超クールでドSな霊媒師

『強制除霊師・斎』1巻から11巻まで読了。
実在のドSな霊媒師、”斎”シリーズ。作者は、小林薫先生。
この斎さん、霊能力はメチャ高く、聞き分けのない霊は問答無用で、強制除霊。超クールでカッコよく、だけど、猫には赤ちゃん言葉話しかけるほどメロメロ。
管理人は、霊感が全くないが、見えない世界を感じる人は結構いるので、そういう世界はあるんだろうと思っている。
斎さんみたいな霊能力やスピリチュアルな能力をほしがる人もいるが、なくてよかったと思っている。
マンガで見る恐怖体験を自分が体験したら、相当に怖くてガクブルものだが、霊感がないおかげで、純粋に怖いマンガをエンターテインメントとして楽しめる。
斎シリーズの他、霊能者・寺尾玲子シリーズ、霊感お嬢・天宮視子シリーズ、流水りんこ先生の『オカルト万華鏡』等々、ついつい読んでしまう怖い話。
ほん怖コミックスには大分お世話になっている。
斎さんは、霊に容赦はないけれど、実は心根が優しくて、とても真っ当な人。
悪霊の声が聞こえるという相談者には、「生活ちゃんとしてますか?」「お金とかものとか…借りたもの返してないんじゃないですか」と諫める。
この話は、もともと生きているときにちょっと問題のあった守護霊が、あることが原因で悪霊化したお話。
その原因とは、相談者の生活や意識の乱れ。
天界にあがると、問題のあった人でも無垢な心になるのだという。無垢な心になって修行のために守護霊になったのに、相談者のよこしまな心に引きずられて、だんだん生きていた頃の悪かった性格や姿が現れてきて、ついには悪霊化。
極めて稀な例と斎さんが言っているけど、う~、そういうことがあるのか。
この相談者には元々三体の守護霊がいたのだが、悪霊化した守護霊のせいで、逃げだしていた。斎さんが悪霊化した守護霊を潰すと、別の三体の守護霊に入れ替わって、一件落着。(3巻『守護悪霊』『第2話/守護悪霊』)
また、霊に憑りつかれて精神錯乱を起こした少女には、「しっかりしろ。こんなモノは怖くもなんともない。怖がるから余計に狙ってくるんだ。波長があっても相手にしないのが一番なんだよ」と諭す。
それでも、少女が「可哀そう」と霊に同情すると、「そういう優しさが霊を引き寄せるんだよ。霊なんてものは怖がらない同情しない。考えないことが一番だね」(4巻『悪行の代償』『第1話/波長の法則』)
霊への対処の仕方、はたまた人としてどう生きるかまで教えてくれるすごいお人。
一話完結なのも読みやすい。
こっからネタバレになるけれど、斎さん、ご病気でもうこの世の方ではありません。闘病記は『霊能者ですがガンになりました』で読めます。
これだけパワフルで能力があって、物事の道理をわかっている人でも、ままならないことがあるんだな~(泣)
もっと長生きして、霊をぶった斬ってほしかったです。
斎さんのドSっぷりを読みたい方、アマゾンの読み放題で、10巻まで読めます。(2022年1月現在)
しかも、このシリーズまだ続いているようで、嬉しい。
最後に、斎さんの数ある名セリフの中から一つ。
「清いものに不浄なものは寄ってこれないんだよ。力技でひっぱがすのも除霊だけどさ。常に意識して自分が清くあるっていうのも除霊法っていっていいんじゃないかな」
セリフに生きざまが垣間見れて、ぐっと来ます。