小川仁志『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』-超訳で哲学の素養がなくても納得

教養のために哲学書なるものを常々読んでみたいと思うのだが、哲学の世界は特殊用語が多すぎて、とっかかりがない。哲学の素養が全くないので、web検索してわかった気になっても、すぐ頭から抜けてしまう。
哲学の訳本はもちろん、解説書でも、難解な用語の上にさらに難解な用語が積み重なり、更に具体例もなかったりすると、お手上げ状態。
アマゾンの読み放題、Kindle Unlimitedに入っていたので、何か手掛かりになるかもと、この小川先生の『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』を読んでみたところ、すごく良かった。
あまりに良すぎて、紙の本でも買ってしまったほど。
読み放題で読んで良かった本は、いつでもめくりやすいよう、紙媒体の本に昇格させているのだが、この本も昇格本の仲間入り。
超訳というのは、私たち現代人が理解しやす言葉に置き換えること。
例えば、「アンガージュマン」なら、こんな感じだ。
アンガージュマン [超訳]積極的かかわり
《用例》 制約があると嘆いてばかりいても仕方ない。その制約にアンガージュマンしていくことで、自分の自由を実現するのが理想的な生き方だともいえる。
用例が書いてあるのでわかりやすい。その言葉の背景についても記載がある。
ちなみにアンガージュマンとは、サルトルの用語。サルトルには戦争に従軍した体験があり、それが彼の思想に影響を与えたものと考えられる。
与えられた状況の中で自由を実現するために、逃げることができないなら、もはやそこに飛び込むないというのがサルトルが導き出した答えだった。
それは自分の気持ちだけではどうにもならない客観的な事態を、仕方ないものと受け止めるような消極的な態度とは百八十度異なるものです。そうではなくて、積極的な社会参加によって、客観的事態をも変えることができるという前向きな態度なのです。
英語ではコミットメントと訳されることが多いのだそうだ。
アンガージュマンというと、なんだかさっぱりだけど、コミットメントと言われれば、まだ馴染みがある。
超訳なので、元々の意味とは少し違ってしまうとこもあるのかもしれないけど、私には十分すぎるほど。
ここをとっかかりにすれば、哲学書にもチャレンジできるかもしれない。
ここはもう自分の頭の悪さを受け入れて、哲学にアンガージュマンしていきたい。