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エンリケ・バリオス『アミ小さな宇宙人』-宇宙人アミと少年ペドゥリートの宇宙を知る旅

アミ小さな宇宙人

『アミ小さな宇宙人』読了。

ずっと読みたいと思っていた本。値段が高騰してなかなか手に入らなかったが、どうにか徳間文庫のそれを手に入れて、やっと読むことができた。スピリチュアル本として高い評価を得ている一冊。作者は、エンリケ・バリオス先生、イラストは、故さくらももこ先生。

『もどってきたアミ―小さな宇宙人』『アミ 3度めの約束―愛はすべてをこえて』へと続く3部作の第1作目。
表紙には、さくら先生の描くUFOに乗った可愛らしいアミが描かれている。
子どものような外観のアミだが、ペドゥリートよりずっと年上。年齢は明かされない。

ストーリーは、9歳の少年ペドゥリートが宇宙人アミと出会うところから始まる。ペドゥリートは、UFOに乗り地球をめぐり、ついには月や別の惑星へも旅することになる。
その旅路、アミから地球が愛の度数の低い、野蛮な惑星であることを知らされる。
暴力は未開文明に特有のもの。アミがコンタクトしたのは、未開文明の援助のため、それは、地球の救済計画の一環なのだという。

ちなみにアミは、本名ではない。発音できないからアミーゴ(友人)と呼んでくれればいいと言われたペドゥリートが、アミーゴは名前らしくないと言って、アミと名付けた。

愛の大切さを説く物語、そしてワンネスの物語だと思う。
愛の度数の高い惑星オフィルは、人と優劣を競うことなく、争わず、奪わず、まさに理想郷だ。

諍いや戦争をやめることができない、私たち地球人の愚かしさ、野蛮さを思い知らされる。

ただ、これは個人的な感想だけど、読んでいて、どこか釈然としないものを感じたのも事実だ。
ひとつには、愛の度数を測る「センソ・メトロ(感覚計)」の存在だ。愛の度数が高いほど、進歩の度合いも高い。

愛の数値が一定以上に達しない人は、文明が自滅するとき救済されない、だから地球人は成長し、度数をあげなくてはならない、とアミは言う。

愛がもっとも大切と言いながら、数値による区別は、階級をつけ、人々を分断するものに思える。

成長するのを待っているからねという寛容な姿勢ではなく、数値をあげなければ助からないよという脅かしが見え隠れする。

助けるものを選別するという行為は、条件付きの愛にも思える。

宗教的な厳しい「父性的な愛」は、本当の愛から、遠いものじゃなかろうか。愛の本質は、条件をつけないもののような気がしている。

わかりやすいし、目覚めを促すために必要な設定なのかもしれないが、どうもしっくりこない。

読む前に抱いていたアミの印象も、快活で無邪気で慈愛に満ちたものから、読み進めるにつれ、理性的で道徳的、ちょっと皮肉屋な印象に変わっていく。

期待が大きすぎたのだろうか。

そうは言っても、今現在を味わい尽くすこと、世界がよりよいものになればいいというメッセージには、共感する。アミの見せてくれるビジョンも、牧歌的で平和で美しい。
他者を慈しみ、世界の美しさへの気づいていこうという前向きな気持ちにもなる。
そういう世界に住みたいと思う。

この後のシリーズがどう展開するのか、続きも読んでみたい。
なかなか手に入らない金額なので、電子書籍版が出ればいいな。

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