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美内すずえ『宇宙神霊記 霊界からのメッセージ』-霊的に目覚める過程が一冊に凝縮

宇宙神霊記

美内すずえ先生の『宇宙神霊記』読了。
ずっと読みたいと思いながら読めてなかったけれど、この度やっと手に入れることができた。学習研究社、1991年4月初版発行となっている。

美内先生が霊的に目覚める過程が、凝縮された一冊。

繰り返し語られるのは、夢の重要性。宇宙神霊とチャネリングができるようになったきっかけは、夢の重要性に気付いたからだと言う。

夢で霊界に行き、前世を知り、宇宙神霊からのメッセージを受け取るようになり、そうして次第に、今生きている現実とは違う「もうひとつの真実」があることを理解するに至る。

幽体離脱、前世の恋人との邂逅、数々の不思議体験、天河神社での霊的覚醒、宇宙神霊からのメッセージ、とスピリチュアルな内容が満載。

夢にマンガを描かされたというエピソードが興味深い。
22歳の頃、三日続けて同じ夢を見て、これはもう描くしかないと観念して、殺人のテーマでマンガを描いたそうだ。これが『孔雀色のカナリア』(あらすじはこちら)だったというから驚く。

更に驚くのは、それまで老婆を殺すという怖ろしい夢を何度も見ていたというのだ。
怖ろしいまでの臨場感。汗びっしょりになって目が覚める。先生が言うには、断定はできないが、前世で老婆を殺してしまったのではないかということ。

けれど、『孔雀色のカナリア』執筆後は、その夢を見ることはなくなった。
マンガに描いて前世の出来事を追体験したことで、カルマを解消をしたのではないかと言う。

個人的には、ユングの言う集合的無意識のようなものを、感じ取ったようにも思う。集合的無意識とは、同じ種族や民族あるいは人類などに共通して伝えられている無意識。
先生個人のというより、誰かが体験した殺人の記憶をキャッチして、優れた創作者であるがゆえに描かされ、多くの人の目に触れさせることで、カルマの解消をした。そんな気もする。

この本を読むと『ガラスの仮面』の「紅天女」や『アマテラス』の随所に、宇宙神霊から受け取ったメッセージが描かれているのがわかって、長年のファンとして本当に感慨深い。

また、世界平和を願う真摯な思いが、胸に響く。
私たち皆が、霊的に目覚めることで、ニュータイプとして、新しい精神文明の仲間になることを切々と訴えかける。大きな目で、宇宙全体のバランスと調和を大切にするように、と。

美内先生の世界観を知る貴重な一冊だった。

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