おがたちえ『汚部屋掃除人が語る 命が危ない部屋』-超ド級の汚部屋エピソードが満載

前回の(『潜入・ゴミ屋敷 孤立社会が生む新しい病』)に引き続き、ゴミ屋敷のお話。
前回はノンフィクションの文章でしたが、こちらは コミックエッセイ。
ゴミ屋敷片付け・特殊清掃専門会社「まごのて」のみなみさんの体験を元に、漫画家のおがたちえ先生が四コマ漫画化。
コミカルな描画と、おがた先生の鋭いツッコミに思わず笑ってしまうが、内容は、想像を絶するエピソードのオンパレード。
・燻煙殺虫剤を着火したら、最後の力を振りしぼった大量のゴキブリがいっせいに壁をよじ登り、天井から雨のように降ってくる。その量、45リットルゴミ袋3つ分。
・ゴミを片付けると出てくる出てくるハムスターや犬の骨。冷凍庫からは、なぜかペットの猫の死体。
・ションペット(小便入りのペットボトル)は当たり前。熱帯魚用の水槽をトイレにして30個も積み上げた、ありえない汚部屋。
・ゴミに埋もれて引きこもっていた高齢女性は、両足が壊死して、歩行不能。
・ゴミの中で育った子どもは、ゴキブリをつまんで「ゴキブリって鳴くんだよ~」と、満面の笑み。
超ド級の汚部屋のエピソードの数々に、ドキドキがとまらないっっ!!
汚部屋掃除人のみなみさんの「部屋にはその人の精神状態が現れる」という言葉には、大きく頷いてしまう。
自分のことを振り返っても精神的に落ちているときは、部屋が汚くなり、汚い部屋を見てまた気が塞ぐ、掃除なんてやる気になれない…そんな負のループ。
それが続けば、ゴミ屋敷まっしぐら。
ついつい散らかりがちな我が家、やりたくなくても、どこかで奮起してやらないといけないと、自分を戒める。
みなみさんが親身になって叱ったおかげで、ゴミに埋もれていた娘さんが、汚部屋を出て結婚していくエピソードには、晴れやかな気持ちになる。
心の状態をキレイにすることを信条に、汚部屋を次々片付けていく姿は、頼もしいの一言!!
いくらお金を積まれても、おいそれと関われない、本当に過酷な仕事。
面白く読みながら、危険な汚部屋の数々を垣間見れて、満足の内容だった。